【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
夕食は、優勝した記念に、
「穂のか」のママがご馳走してくれるというから、
二人で「穂のか」に向かう。
そこには宮坂先生もいて、
みんなで祝杯を挙げる。
「いつもお母さんが誰よりも応援してたものね」
そうママがぽつりと言うから、
思わず私は涙を零しそうになる。
ちゃんと見ててくれた人がいたんだな、と
そんなことだって嬉しくて。
「じゃあ、白組優勝おめでとう!」
そう言って、ビールと、隼大のジュースのグラスが、
カチンと華やかに音を鳴らす。
「隼大~~~。今日は早かっ」たねえ!!」
そう言って私が頭をガシガシと撫でると、
照れくさそうに、それでも嬉しそうに笑う。
「まあ、佳代も早かったよな」
そんな風に偉そうに言い返すから、
私は隼大にデコピンをし返す。
「いってぇなあ~」
そう文句を言いながら、隼大はにこにこと上機嫌だ。
「しかし、佳代の走る姿は綺麗だったな……」
少しだけ目の淵をお酒で赤く染めて、
宮坂先生が、私にしか聞こえないような小さな声でポツリという。
「……え?」
私が思わず息を呑んで、聞き返すと、
ニヤリといつもみたいに笑うけど、
少しだけ、まだ目の淵が赤くて。
「いーや、なんでもねぇよ」
そう言って、くすりと笑って、ぽんぽんと、
子供をなだめるように頭を撫ぜる。
だから、その指先だけで、私の心臓がまた暴れだす。
「隼大ぁ、優勝おめでとう」
そう言って、そんな私に気づかないまま、
彼は目を細めて、隼大の傍に行く。
何やら二人で楽しそうに話しているのを、
私はぼおっとして見ている。
『走る姿が綺麗』
そんなこと、男の人に言われたことがなくて、
多分深い意味はないのかもしれない。
でも、その言葉にぎゅっと胸を締め付けられるような気がする。
「綺麗」って言葉が私をふわふわした気持ちにさせる。
だから、私はそのふわふわした気持ちのまま、
少ししか飲まないビールにその日は酔ってしまった。
「穂のか」のママがご馳走してくれるというから、
二人で「穂のか」に向かう。
そこには宮坂先生もいて、
みんなで祝杯を挙げる。
「いつもお母さんが誰よりも応援してたものね」
そうママがぽつりと言うから、
思わず私は涙を零しそうになる。
ちゃんと見ててくれた人がいたんだな、と
そんなことだって嬉しくて。
「じゃあ、白組優勝おめでとう!」
そう言って、ビールと、隼大のジュースのグラスが、
カチンと華やかに音を鳴らす。
「隼大~~~。今日は早かっ」たねえ!!」
そう言って私が頭をガシガシと撫でると、
照れくさそうに、それでも嬉しそうに笑う。
「まあ、佳代も早かったよな」
そんな風に偉そうに言い返すから、
私は隼大にデコピンをし返す。
「いってぇなあ~」
そう文句を言いながら、隼大はにこにこと上機嫌だ。
「しかし、佳代の走る姿は綺麗だったな……」
少しだけ目の淵をお酒で赤く染めて、
宮坂先生が、私にしか聞こえないような小さな声でポツリという。
「……え?」
私が思わず息を呑んで、聞き返すと、
ニヤリといつもみたいに笑うけど、
少しだけ、まだ目の淵が赤くて。
「いーや、なんでもねぇよ」
そう言って、くすりと笑って、ぽんぽんと、
子供をなだめるように頭を撫ぜる。
だから、その指先だけで、私の心臓がまた暴れだす。
「隼大ぁ、優勝おめでとう」
そう言って、そんな私に気づかないまま、
彼は目を細めて、隼大の傍に行く。
何やら二人で楽しそうに話しているのを、
私はぼおっとして見ている。
『走る姿が綺麗』
そんなこと、男の人に言われたことがなくて、
多分深い意味はないのかもしれない。
でも、その言葉にぎゅっと胸を締め付けられるような気がする。
「綺麗」って言葉が私をふわふわした気持ちにさせる。
だから、私はそのふわふわした気持ちのまま、
少ししか飲まないビールにその日は酔ってしまった。