【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

「宮坂先生はいい先生だと思うよ。
信頼できる先生だって、評判だよ」

隼大の同級生のお母さんたちも口をそろえて言った。
何より、子供たちがとてもよく懐いているという。
おおざっぱそうに見えて、よく子供を見ている。
だから、預けても大丈夫。
……そんな風に言ってくれる人も多くて。

「ま、俺たちもできる限り、
まめに隼大の様子を見るつもりではいるからさ」
『穂のか』のマスターとママもそう言ってくれた。

「まあ、形としては、宮坂先生が面倒見るって言っているけど、
隼大は俺たち地元の人間みんなで、
佳代ちゃんが戻ってくるまで面倒を見るつもりでいるし、
安心して、あと半年しっかり勉強しておいで」
そう言ってくれる言葉も嬉しかったし、

なにより隼大本人も、
半年の間、先生のところにいる、
東京に行くよりは、そっちの方がいい、

そんな風に言うから……。


「……先生、本当にいいんでしょうか？」
私は学校の職員室で、宮坂先生にそう尋ねていた。

「ああ、最初からかまわねぇって言っているだろ？」
先生はそう言って、ニヤリと笑う。
「隼大の奴も、それでいいって言っているしな。
まあ、五年生なんてのは、
家族より友達が大事な時期だったりするからな、
せめて、友達とは一緒にいさせてやりてぇからなあ……」

そう言って、窓から沈みかかった夕日を見つめる。
顔立ちは怖く見えるけど、
それに、顔の傷は余計それを強調して見せるけど、
でも、そうやって夕日を見つめる顔は、
目を細めているせいか、さほど怖さを感じない。