【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「……え?」
一瞬何を言われたのかわからなくて、
思わず絶句をしてしまう。

「……さあ、何をしてもらおうかな……」
そう言うと、
「倫太郎、お前どっか出かけてろよ」
そう言って、彼の腕を引っ張り出して、
そのまま、外に放り出すようにして、彼ははだしのまま玄関に下ろされる。

「あの、お母さんは?」
そう思わず尋ねると、
倫太郎君がぼそりと、
「母ちゃんはいないよ……どこかに行った……」
そう答えて、
「うるせぇなあ、さっさと出て行きやがれ」
そう父親に言われて、慌てて、靴だけ履いて、
そのままの格好で外に出ていく。
まだ、春先で、外は寒いのに、
ジャンバーすら着てないから、

「ええ、でも……その恰好じゃ……」
そう私が声を掛けると、
「いいんだよ、子供は風の子だからな……」
ニヤニヤと笑いながら、

「ほら、さっさと出かけろ」
そう言って彼を追いだそうとする。

「……」
一瞬彼が私の方を見つめて、そのまま逃げだすように外に飛び出す。
私がとっさに彼を追いかけようかどうか迷った瞬間、

がしっと腕をつかまれてしまう。
思わずびっくりして、父親の顔を振り向くと、

「じゃあ、とりあえず、払えるモンから払ってもらおうか……」
そう言って、次の瞬間、羽交い絞めのような格好で、
無理やり部屋の中に引っ張り込まれた。
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