【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
こっちの視線を感じたのか、
こちらを振り向いて、もう一度唇をゆがめて、ふっと笑う。
「しかし、隼大にこんな美人の姉がいたとはね」
からかう様に言って、こちらを見るから、
思わず目線をそらしてしまう。
無遠慮な視線に、頬に熱が上がってきてしまう。
そんな私を面白そうに見て、
くつくつと楽しそうに笑って。
「……まあ、亡くなったお母さんも、
感じのよい、綺麗な人だったからな……」
ふっと思い出したかのように、
声のトーンを落として、穏やかで優しい声で話す。
その声が、なんだかとっても深くて温かくて……。
その言葉と共に、母の明るい笑顔を思い出す。
仕事熱心で、いつも明るくて、
辛い時も、悲しい時も、
いつもでも笑顔を浮かべる人だった。
……とっても強い人で……。
私の憧れの母親で、理想の看護師で……。
気づけば、母の死以来、
ずっと張りつめていて、零すことのできなかった涙が、
ぽろり、ぽろり、と頬を滑り落ちていく。
一瞬そんな私の気配に気づいて、
宮坂先生は、息を呑む。
一呼吸おいて、ふぅっと小さなため息をついてから、
「佳代さんも、いろいろ不安なことも多いだろう?
俺は隼大の担任だが、隼大の家庭環境を良くする手助けをするのも、
担任の仕事の一部だと思っているからな、
もし、俺で役に立つことがあれば、なんでも相談しろよ?」
そう優しい言葉を掛けられて、
私は下を向いたまま、ぎゅっと握った拳の背で、
目元を荒っぽく拭く。
こちらを振り向いて、もう一度唇をゆがめて、ふっと笑う。
「しかし、隼大にこんな美人の姉がいたとはね」
からかう様に言って、こちらを見るから、
思わず目線をそらしてしまう。
無遠慮な視線に、頬に熱が上がってきてしまう。
そんな私を面白そうに見て、
くつくつと楽しそうに笑って。
「……まあ、亡くなったお母さんも、
感じのよい、綺麗な人だったからな……」
ふっと思い出したかのように、
声のトーンを落として、穏やかで優しい声で話す。
その声が、なんだかとっても深くて温かくて……。
その言葉と共に、母の明るい笑顔を思い出す。
仕事熱心で、いつも明るくて、
辛い時も、悲しい時も、
いつもでも笑顔を浮かべる人だった。
……とっても強い人で……。
私の憧れの母親で、理想の看護師で……。
気づけば、母の死以来、
ずっと張りつめていて、零すことのできなかった涙が、
ぽろり、ぽろり、と頬を滑り落ちていく。
一瞬そんな私の気配に気づいて、
宮坂先生は、息を呑む。
一呼吸おいて、ふぅっと小さなため息をついてから、
「佳代さんも、いろいろ不安なことも多いだろう?
俺は隼大の担任だが、隼大の家庭環境を良くする手助けをするのも、
担任の仕事の一部だと思っているからな、
もし、俺で役に立つことがあれば、なんでも相談しろよ?」
そう優しい言葉を掛けられて、
私は下を向いたまま、ぎゅっと握った拳の背で、
目元を荒っぽく拭く。