【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
季節はゆっくりと過ぎて、
気づけば隼大の小学校卒業の時期がやってくる。
隼大にとってみれば、5年生になってからは、
母の急死から始まって、
慣れない宮坂先生との同居生活を経て、
私と二人きりでの生活になって、
まだまだ、小学生の彼にとっては、
不安だらけで、つらいことも多い時期だったと思う。
それでも、この時期を通じて、
彼は短期間にぐっと大人になったような気がする。
それに対して私はまだまだ、
大人になりきれてなくて……。
毎日の仕事と、生活でいっぱいいっぱいで、
どれだけ隼大のためにしてやれたのかわからない。
それなのに、卒業式のその日、
珍しく起こされる前に起きてきて、
台所に立つ私の前に来て、
「ねえちゃん……」
珍しく佳代、とは呼ばないで、
「いつもいつも、ありがとう……」
そんなことを言うから、思わず目を見開く。
くるっと、踵を返して、
台所から出ていく直前に、
「ねえちゃんも、いつも忙しいのに、
俺の世話まで焼いてるからさ……」
一瞬振り向いてニヤリと笑う。
「そろそろ彼氏とか作ってもいいんじゃね?」
「俺も俺のことはできるだけ自分でやるからさ」
そんなことを言って、部屋を出ていく。
気づけば隼大の小学校卒業の時期がやってくる。
隼大にとってみれば、5年生になってからは、
母の急死から始まって、
慣れない宮坂先生との同居生活を経て、
私と二人きりでの生活になって、
まだまだ、小学生の彼にとっては、
不安だらけで、つらいことも多い時期だったと思う。
それでも、この時期を通じて、
彼は短期間にぐっと大人になったような気がする。
それに対して私はまだまだ、
大人になりきれてなくて……。
毎日の仕事と、生活でいっぱいいっぱいで、
どれだけ隼大のためにしてやれたのかわからない。
それなのに、卒業式のその日、
珍しく起こされる前に起きてきて、
台所に立つ私の前に来て、
「ねえちゃん……」
珍しく佳代、とは呼ばないで、
「いつもいつも、ありがとう……」
そんなことを言うから、思わず目を見開く。
くるっと、踵を返して、
台所から出ていく直前に、
「ねえちゃんも、いつも忙しいのに、
俺の世話まで焼いてるからさ……」
一瞬振り向いてニヤリと笑う。
「そろそろ彼氏とか作ってもいいんじゃね?」
「俺も俺のことはできるだけ自分でやるからさ」
そんなことを言って、部屋を出ていく。