【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「……呼べませんよっ」
思わずそう言う私に、
「……呼ばなかったら、返事しねぇからな?」
そう言って、彼は楽しそうに、ビールをおかわりする。

私は突然そんなことを言われて、
困りながらも、何だかちょっとだけ嬉しくて、

それでも素直に、その日はそんな風に呼べなくて、
彼に呼びかけるときは、
「ねえねえ」
とかそんなことしか言えなくて……。

そう呼ぶたびに、彼が面白そうにニヤリと笑うから、
きっと、照れて名前で呼べない私のことなんて、
彼は完全にお見通しで、
新しいからかいのネタを手に入れて、
機嫌よさげにしている彼に、
ちょっとムっとしながら、
それでも、何だかそんな空気も心地よくて。

人の少ない店内で、
くだらない事や、とりとめのない会話を彼と深夜まで楽しんだ。
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