【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
私はたった一人で、
ドキドキする鼓動を抱えているような気がして、
それが何だか悔しくて、
「……拓海?」
そうもう一度彼の名を呼んで、
「なんだよ」
振り向いた彼の袖をつかむ。
そのまま背伸びをして、
彼の下あごのあたりに、唇を寄せる。
少しだけ生えかけたひげがチクンと痛くて、
とっさに固まってしまった彼を横目に、
私はあわてて、その場から逃げ出す。
公園の外まで走り出て、
公園内で、桜の木の下にいる彼に向かって、
「私も酔っぱらってます」
そう言うと、踵を返す。
心臓が早鐘のように打っていて、
もうおかしくなってしまいそうで。
何、私、大胆なことをしているんだろう、
思わず、恥ずかしくてたまらなくなって、
「……明日早いから、帰ります」
そう彼に背中を向けたまま、告げると、
彼が緩やかに歩いて私の傍に来て、
「酔ってるんだろう?
仕方ねぇなあ、ちゃんと送ってやる……」
そう言って、私の少しだけ先を彼が歩いていく。
私は彼の後姿の、
うなじと、耳元が仄かに赤いような気がして、
それに気づいた瞬間、
胸が、きゅっと締め付けられる感覚に、
とろとろに酔わされていく。
きっと、私は今泥酔状態だ。
酔っているのは、
お酒か、桜か、それとも……。
ドキドキする鼓動を抱えているような気がして、
それが何だか悔しくて、
「……拓海?」
そうもう一度彼の名を呼んで、
「なんだよ」
振り向いた彼の袖をつかむ。
そのまま背伸びをして、
彼の下あごのあたりに、唇を寄せる。
少しだけ生えかけたひげがチクンと痛くて、
とっさに固まってしまった彼を横目に、
私はあわてて、その場から逃げ出す。
公園の外まで走り出て、
公園内で、桜の木の下にいる彼に向かって、
「私も酔っぱらってます」
そう言うと、踵を返す。
心臓が早鐘のように打っていて、
もうおかしくなってしまいそうで。
何、私、大胆なことをしているんだろう、
思わず、恥ずかしくてたまらなくなって、
「……明日早いから、帰ります」
そう彼に背中を向けたまま、告げると、
彼が緩やかに歩いて私の傍に来て、
「酔ってるんだろう?
仕方ねぇなあ、ちゃんと送ってやる……」
そう言って、私の少しだけ先を彼が歩いていく。
私は彼の後姿の、
うなじと、耳元が仄かに赤いような気がして、
それに気づいた瞬間、
胸が、きゅっと締め付けられる感覚に、
とろとろに酔わされていく。
きっと、私は今泥酔状態だ。
酔っているのは、
お酒か、桜か、それとも……。