予測不能なケミストリー 【完結】
リョウ君が、急に立ち止まる。

「恋?」
「恋すると、人は予測不能になるし
恋をしている相手も、予測不能。」

「そうなの?」
「うん、そう。だって、好きな人のことで
頭がいっぱいになっちゃうから。
そんな、先のことを考えて行動なんて
できないし、予測通りにコトが進むこと
ばかり、なんてないもの。

ーーーーリョウ君は、
      私に、恋してるんだよ」

「あ・・・」

点と線が、結びついた、なんて
リョウ君は、推理小説みたいな言葉を
ぶつぶつとつぶやいて、それから
茶色の目をキラリと輝かせ、雨上がりの
どんより雲を見上げた。

私も、見上げる。

そこには、どんより雲なのに
さっきまでとは違う、雨上がりの
そらぞらしいほどに重そうな雲が
風に流れて泳いでいた。

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