マイノリティーな彼との恋愛法


すると、その神宮寺くんの後ろからひょっこりと姿を現した、ものすごく顔の整ったイケメン。
「あ!やっぱりその声、春野さんだと思いました〜」と言いながら、爽やかな笑顔。

柏木さんだった。

わお、なんてタイミング。


「柏木さーんっ!お疲れ様ですっ」と、ピンク色の声色で風花ちゃんが神宮寺くんを押し退けて柏木さんを引っ張った。


「測量帰りか、神宮寺」

「はい、まあ。ちょっと泉ヶ岳に」

「じゃあ寒かっただろ。お疲れ様」


風花ちゃんに腕を引かれて自ずと私たちのそばにやって来た柏木さんは、さりげなく神宮寺くんを気遣う。
うぅ、どこを切り取っても中身までイケメン。


神宮寺くんは私と柏木さんが知り合いだって知らないはずだけど、これといった反応は見せずに相変わらずゴホゴホと咳をしていた。

風邪は治りかけって言ってたけど、ちゃんと薬とか飲んでるのかしら?
……って気にする義理は無いんだけど。


のろのろと前進していた列は少しずつゲートが近づいてきて、やっとのことで社員証をパネルにタッチできた。
ゲートを無事に通過したあたりで、神宮寺くんがぼそりと尋ねてきた。


「いつから柏木さんと?」

「え?」


まさか時間差で聞いてくるとは!さすが神宮寺くん。
どこから説明しようか迷っていると、横から柏木さんが答えた。


「ついこの間、秀行に頼んで春野さんを紹介してもらったの。ずっと彼女のことが気になってたんだ」

「……へぇ〜、梶山さんが」

「いいよな、俺が春野さんと2人で会ったって。お前には関係ないもんな?」


イヤミのない笑顔で、柏木さんが神宮寺くんに確認するように肩に手をかけた。
私の横にいる風花ちゃんが、キラキラした目で「も、もしかして修羅場っ?」と声を潜めて興奮している。

私だって冷静なフリはしているけれど、内心ドキドキしすぎて胸が張り裂けそうだった。

さぁ神宮寺くん!なんと返す?


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