マイノリティーな彼との恋愛法
7 マイノリティーな彼に会う口実。
私がこれまでに恋愛してきた相手はたいてい年上で、わりと明るくコミュニケーション能力があり、どちらかというと万人受けし、そして経済力もあった。
年上と付き合っていればなんとなく結婚の話が持ち上がることもあったが、それでもそこに行き着かなかったのはやっぱり結局は相性が良くなかったんだと思う。
自分よりも年上ならば包容力があって、余裕を持って私を支えてくれて。
私はその逞しい腕に甘えながら幸せになるんだと信じてやまなかった。
だけど。
もしかしたらそれは私の勘違いだったのかもしれない。
恋人がいない期間が長かったせいで、風花ちゃんの言う通り理想だけが高くなったんだと気がつく。
ハマったドラマの俳優をまんま当てはめた、あの長ったらしい理想のタイプを吹聴していた自分が急にバカらしく思えた。
神宮寺くんは私の好きなハッキリした顔立ちじゃない。
年下だし、生意気だし、ああ言えばこう言うし、人を怒らせるようなことを普通に口にするし、愛想も無いし、気の利いたセリフなんて言うわけがない。
というか、そんなものヤツに求めちゃいない。
恋愛が面倒くさいだとか、結婚願望は無いとか、好きとか愛してるとか一度も女性に伝えたことがないと公言している男だとしても。
残念ながら、私はそんなヤツを好きになってしまった。
恋愛って不思議。
理想のタイプやこれまで付き合った人のタイプと、これっぽっちも掠る部分が無かったとしても、何故か好きになることはあるらしい。
非常にあっさりとした顔立ちで佇まいがかったるそうな姿も、仕事の話になると突然イキイキし出すのも、やたらとお酒に強いのも、意外に礼儀作法がちゃんとしてるのも、本気で笑うと目が三角になるのも、もう全部が好きなんだとハッキリ自覚した。
顔を見るだけで心臓がドンドコ鳴るのも、もう慣れた。
問題は、この気持ちをどうするかだ。