マイノリティーな彼との恋愛法
シャンシャンと軽快な鈴の音、毎年よく聴くお馴染みの曲がいくつか、エンドレスで街中に流れている。
赤と緑のどぎつい二色がギンギンに飾り立てられるのも、もう明日で終わりだ。
あろうことか一番盛り上がるであろうクリスマスイブ当日に、私はひとり街に繰り出していた。
すれ違うのは家族連れや恋人たちが目立つけれどみんな眩しいほどの笑顔で、それを複雑な気持ちになりながらやり過ごす。
気温の低い外では、息を吐くと真っ白。
かぎ編みのワインレッドのスヌードに顔を埋めて足早にファッションビルに入り込んだ。
今日、買い物に来たのは自分のものを買うためじゃない。
神宮寺くんにマフラーを買いに来たのだ。
なにしろ彼には先日多大なる迷惑をかけたわけで。
せめてお礼がしたいと色々考えた末、いつも寒そうに首をすくめて顔を歪めているヤツの姿を思い出したのだ。
外で仕事をすることも多いっていうし、普段はスーツを着ているから、どちらにしても合いそうなシンプルでかさばらないボリュームのマフラーを探していた。
少しは寒さが和らげば、それに越したことはない。
私の中の乙女ひばりは絶賛常時作動中で、休憩時間なんか全然くれない。
もうこの気持ちに抗うのはやめた。
フタをしてもフタをしても、いちいち彼のことを考えてしまうのは明白だし、フタをしたと思ったら神宮寺くんが現れて、あっさりとフタを開けていってしまう。
まぁ結局、理屈じゃないんだよね、恋愛は。
そう結論づけて、マフラーを求めてメンズフロアをさ迷った。