マイノリティーな彼との恋愛法
「気にすることないですよ、全部脱いだら関係ないです」
「ねぇ、もう……やめて。本当に恥ずかしい」
「靴下も脱ぎますか?ウミガメの」
彼に指摘されなければ分かっていなかった。
靴下まで彼に染まっていた。
もう本当に、最初からこいつが来るって知ってたみたいな流れ。
半泣きで靴下だけは自分で脱いだ。
キスの続きをようやく再開した私たちは、そこかしこに落ちている笑いの粒を拾い集めて、面白おかしいエッチをした。
これはたぶん、初めての経験。
もしかしたら神宮寺くんなりに、私の緊張を和らげる材料を探してくれていたのかもしれないけれど。
この人は心を開いてくれると、こんなに楽しい人だったのだと気づかされた。
「…………苦しい?」
体を重ねて、唇も重ねていると、さすがに息継ぎ出来ないので自ずと眉間にシワが寄る。
それを見つけた彼が合間に尋ねてきたので、正直にうなずいた。
「手加減してよ、久しぶりなんだから」
「大丈夫です、これでも手加減してます。責任取りますから思う存分苦しんで下さい」
「どうやって責任取るっていうの」
「結婚して下さい」
耳がおかしくなったのかと思った。
風邪が治りきってないのにこんなことをしたから、難聴になったんだ!
そうじゃなきゃおかしい!
こんないっぱいいっぱいな時に悪質な冗談を言うんじゃない!
と文句を言いたかったけれど、それは叶わなかった。
もう私の理性はヤツの手によって振り切れてしまって、愛される喜びに没頭することに集中してしまったからだ。
もう、いいや。
あとで聞けば━━━━━。
温かい彼の腕の中で、今だけは考えるのをやめた。