マイノリティーな彼との恋愛法
そこからは自然と神宮寺くんとの間に会話が生まれた。
お互いにお酒が好きらしいということが分かって、ハイペースでお代わりをしながらテーブルの隅っこでボソボソ話す。
「測量士って、何やるの?」
「土地の測量」
「もっとこう、何も分からない人に1から説明する気はないの?」
「女の人って興味ないでしょ、測量の仕事」
「測量士に初めて会ったから、ちょっと興味が湧いたの」
「マイナーな仕事ってよく言われます」
設計事務所で働いてるというから、てっきりそれこそ建築士だとかそういう人がメインで働いてるのかと思ったら、正式には「測量設計事務所」だということが分かった。
同じフロアには「建築設計事務所」があって、それぞれの代表が兄弟で提携して仕事をしているらしい。
つまり、風花ちゃんはそもそも「設計事務所」間違いをしていたというわけだ。
申し訳ないけれど、確かに彼が言う通り測量士はちょっとマイナーかもしれない。
知名度としてはある程度高いけど、女子ウケは微妙なところだ。
「測量士の事務所とかあるんだ〜。全然知らない世界」
「仕事内容も地味だし、建築士みたいに名乗るだけで騒がれるような華もない」
「そ、そんなことないよ……」
思ってたことを言い当てられた気分になって弱々しくを返すと、神宮寺くんはまたしてもグラスの取っ手を掴み損ねていた。