マイノリティーな彼との恋愛法

しかしだからと言って彼が悲観的であるかと聞かれるとそうではない。

はぁ、とため息をつくでもなく、落ち込んだ様子を見せるでもなく、そこにある事実を口にしているだけのようだ。

それが彼のしゃべり方であって考え方なのかもしれないけれど、基本的に常に温度が一定なのだ。
上がったり下がったりすることなく、ひたすら同じテンション(しかも決して高いとは言えない)で、無気力な目のまま話している。


最初から薄々気づいてたけど、この人はしゃべるのが得意ではなさそうだ。


「みんな楽しそうだね……」

低い温度のこちらとは違って、各方面風花ちゃんたちをはじめけっこう盛り上がって楽しんでいるように見受けられた。
建築士じゃない男性陣にガッカリしていたのはいつのことなのか、すっかり打ち解けている。

合コンってこんな感じだったっけ?
なにしろ記憶が7年前のものしかないので、雰囲気すらも危うい。


ぼんやりと壁に背をつけて、やめられないビールを飲んでいると。
隣の神宮寺くんがふと悟ったような表情を浮かべた。

「もしかして、春野さんも人数合わせ?」

「あ、やっぱり分かる?」

「最初は好みの男がいなくて凹んでるのかと思ってたけど」

「好みの人は……まぁ、いませんけどね」


ぽつんと2人で小言のように話す会話が、なんだか滑稽に思えて笑えてきた。


「私たち、余りものなのかなぁ」

「…………だろうね」


まざまざと見せつけられた自分の評価なのに、案外それでもいいかと感じていた。

仕方ない。
三十路目前のアラサー女と20代前半の若くて可愛い女の子たち。
比べたら当然若い方をとるに決まってるもの。


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