マイノリティーな彼との恋愛法
完全に上から目線でものを言われていることに関しては、もう反論する気も起きない。
ちょっと腹は立ったけど、渚のハッピーオーラにあやかりたい気がしなくもないからだ。
「もう少し相手を見極めてから、とか悠長なこと言ってられる歳じゃないでしょ?今どきの子は連絡先交換と言ったらラインIDの交換なのよ。身元もバレないし嫌ならブロックすればいい!」
「え〜。なんかそれやだ〜」
「最後まで聞く!」
「は、はいっ」
「そういう緩さがいいのよ、今の恋愛って。だからひばりも同じよ?気になる人がいたら、ラインIDを聞きなさい。即ゲット出来るはず!」
「…………う〜ん。ねぇ、それって本当に渚の考えなの?」
「━━━━━バレた?職場の若い子たちが話してるの聞いただけ」
「おいっ」
思わず睨んだのに、渚は悪びれた様子もなくドヤ顔をしていた。これが正解だと言わんばかりに。
「とにかくひばりはガードが固いのよね。なんでもソツなく出来る割に恋愛においては不器用すぎる。というか、会社と家の往復をしすぎ」
「いや、レンタルショップに寄ってるよ……」
「腐女子め!」
「違うわ!海外ドラマ見てるだけっ」
全力で否定したらまたしても笑われた。
私がムキになるのを予想していたらしい。
「ひばりが今まで付き合った人って、いっつも年上のなんでも出来る人が多かったじゃない?」
「あー……まぁ、そうだね」
数少ない私の付き合った歴代の男たち。
思い起こせば確かにみんな年上で、自立していて、話し上手でリード上手。それこそ包容力という点では大きい人たちばかりだった。
甘えられる人がいいと思っているから、おのずと年上好みになっていくわけで。
私が遠い目をしている向かい側では、渚がまだ話している。
「でもさ、あんたって本来は世話好きじゃん。お節介っていう言い方してもいいけど」
「そこは世話好きでお願いします」
「だからさ、逆に世話したくなるような手のかかる人の方が、ひばりには合ってるんじゃないかなーって最近思い始めたのよ」