マイノリティーな彼との恋愛法
そうしてようやくお昼休みになり、風花ちゃんがいつもお昼ご飯を一緒に食べている3人はオフィスに残し、私と2人でビルを出た。
「ねー春野さぁん。ベーグルサンド食べたいですぅ。知ってます?少し歩いたところに人気のお店があって……」
「知ってるけど混んでるから無理。回転の早い定食屋あるから、そこにする」
「えー!なんでランチなのに回転早いんですか?」
「おじさんしかいないからよ」
「なんでそんなところにわざわざー!」
「アジフライ定食絶品だから一度食べてみなさいよ」
「シーザーサラダ温玉のせとか、生ハムとルッコラの塩パスタとか、デザートはティラミスとか紅茶のシフォンケーキとか、オシャレカフェが良かったー」
いつまでも話していてもキリがないので、はいはいとうなずきながら彼女を引っ張るようにして人通りの多い歩道を歩く。
風花ちゃんはまだタラタラと文句を言っていたけれど無視して進む。
やがて、古びた老舗の定食屋が見えてきた。
「古いっ。メニューが黄ばんでる!」
お店の外に掲げられているメニューや外観に悲鳴めいた声を上げている彼女を、無理やり店内に押し込む。
中にはサラリーマンがごった返していた。
女性客は私たち以外に3人しかいなかった。
「ドリアとかラザニアとか無いですか?」
「あるわけないでしょ。アジフライ定食ふたつ!」
席について、即座に店員さんをつかまえて勝手に注文。
やっと風花ちゃんは諦めたらしく出されたお冷を飲んでいた。
「春野さんって男だったら超人気ありそう……俺様ドSキャラで」
「嬉しくないわ、そんなん」