【短】相見えるまで
まだ終わらないのだろうか。
この戦争は。
まだ会えないのだろうか。
彼とは。
静かな夜。
浅い眠りのなかで、夢をみた。
彼が出てきてくれた。
写真のままの優しい笑顔で、
軍服姿のまま、迎(むか)えにきてくれた。
私はその胸に飛びついた。
熱い抱擁(ほうよう)に涙がでた。
絶対に離れたくない。
あぁ、あぁ。
会いたかったわ。
私、頑張ったの。
何度も殺されそうになったけど、
頑張ったの。
あなたに会いたくて。
彼は、そうかそうか、と言いながら、
ずっと背中をさすってくれた。
そして、耳元でそっと
愛してるよ。
と言ってくれた。
そこで、目が覚めた。
目に溜(た)まっていた涙がこぼれた。
幸せな夢だった。
覚めないで欲しかった。
現実であって欲しかった。
まだ夜更けの、
月の光が明るい今日の夜。
彼はこの月をどこでみているのだろう。
会いたい。
あぁ、たまらなく会いたい。
私は涙を止められなかった。