【短】相見えるまで
日が経ち、戦争は終わった。
次々と兵士が帰ってくる。
負傷した兵士。
元気な兵士。
それぞれが、煤(すす)だらけになりながら、
列をなし、向こう側から、ぞくぞくと帰ってくる。
人は、それぞれの大切な人を見つけるや否や、
走り寄って抱きしめていた。
私が、夢にまでみた抱擁(ほうよう)。
熱い涙を流し、彼らはなかなか離れない。
彼はまだだろうか。
私の胸は、痛いほど速く鳴っていた。
列はまだある。
早く。
早く。
目を凝らして、必死に探す。
再会できた人々は、ゆっくりと帰っていく。
まだこない。
彼は、まだ見つからない。
嫌な予感がする。
いいえ、絶対にかえってくる。
だって、だって、約束したのだから。