ケダモノ、148円ナリ
「裸だよ」

「それは見せてますよ」

 おいっ、と思ったが、
「だって、小さな頃から一緒ですから」
とケロッとした顔で言ってくる。

「お前にとってのおにいさまってなんだ?」

 明日実は少し考え、
「大好きな方です。
 大事な方です。

 いつも私を守ってくださって。
 幸せになって欲しいと思います」
と微笑む。

 難儀なもんだな、と思っていた。

 明日実は妹だと言ったときの顕人の顔を思い出していた。

 あの男はいつ、それを知ったんだろうな、と思うと、ちょっと同情してしまうが。

「愛してるよ、明日実」
とその頬にキスをする。

 明日実は赤くなっていたが、前程抵抗はしてこなかった。

 ふふふ。
 しめしめ。

 段々、鈍くなってきたな、と思う。

 毎日やってるうちに、それが当たり前になってくるに違いない。

「よし、じゃあ、一緒に風呂に入ろう」

 調子に乗って言ってみたが、
「……一人で入ってくださいよ」
と睨まれた。




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