ケダモノ、148円ナリ
「妖怪っ!?」

「なんで妖怪だ」

 寝たまま明日実の手をつかんでいた貴継を振り返る。

「すっ、すみませんっ。
 いつもはこの家に一人なので、急に誰かに手をつかまれると、生きていないなにかかと」

 阿呆か、と言いながら、貴継は強く手を引き、自分の寝ているソファに明日実を座らせる。

 その強さに逆らえないまま、座り込み、
「あ、あの~……」
と明日実は呼びかけた。

「なんで、此処で寝てるんですか?」

「言ったろう。
 あの男の使ってた部屋で寝たくないんだ」

 何故、そんなにおにいさまをそんなに嫌うんだ、と思いながら、
「じゃあ、布団とか替えますから」
と言うと、

「いや、ベッドごと買い替えよう」
と貴継は言い出した。

 なんか凄いベッド買って来そうだ。

 ……そのお金で簡単に部屋とか借りられそうなんだが。

 っていうか、なんで、私まで、この人がずっと此処に居る前提で語ってんだ、と思い、立ち上がろうとしたが、貴継が手を離さない。
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