ケダモノ、148円ナリ
「そりゃ、俺だって怖いからだ。
 お前には嫌われたくないからな」
と言いながら、明日実の胸に触れてくる。

「愛してるよ、明日実」

 だが、貴継の唇が鎖骨の辺りに触れたとき、明日実は思わず、叫んでいた。

「やっ、やっぱりやめてくださいっ」

「もう無理だと言ったろうっ」
と抵抗しようとする明日実の腕を貴継は押え込む。

 明日実を見下ろし言った。

「大丈夫だ。
 此処を乗り越えたら、楽になるっ」

 登山かなにかのようだ。

「頑張れ」
と貴継は片手を離し、拳を作って言う。

「が、頑張ります(?)」
となんだかわからないまま、誓わされた。

 ……しかし、ケダモノは所詮ケダモノだったな、と明日実は思った。







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