ケダモノ、148円ナリ
マイクの前に立った人事部長が言う。
「皆さん、入社おめでとう。
入社式は四月一日ですが、すぐに仕事に馴染めるように、二週間、研修期間を設けています。
早くそれぞれの部署に慣れるよう頑張ってください」
……そんな言葉遣い出来たのか。
明日実はその男を見上げて、ぼんやり思う。
「私は、人事部部長の天野貴継です」
こちらを見て、にんまり笑ったように見えたのは気のせいか。
いやいや、待て。
入社試験を受けたとき、この人の良さそうな課長はいらっしゃいましたけど。
部長は確か、温厚そうなおじさんでしたよ?
って、この会社、人事異動は二月かっ、とか思っている間に、いつの間にか、部署が発表になっていて、それぞれ、ほっとしたり、えーっ、という顔をしたりしている。
っていうか、私の名前は? と思っていると、
「佐野明日実、人事部付」
へ?
明日実の周りがざわつく。
「佐野さん、人事なの?」
「いや、違うよ。
人事部付って言うのは……」
「皆さん、入社おめでとう。
入社式は四月一日ですが、すぐに仕事に馴染めるように、二週間、研修期間を設けています。
早くそれぞれの部署に慣れるよう頑張ってください」
……そんな言葉遣い出来たのか。
明日実はその男を見上げて、ぼんやり思う。
「私は、人事部部長の天野貴継です」
こちらを見て、にんまり笑ったように見えたのは気のせいか。
いやいや、待て。
入社試験を受けたとき、この人の良さそうな課長はいらっしゃいましたけど。
部長は確か、温厚そうなおじさんでしたよ?
って、この会社、人事異動は二月かっ、とか思っている間に、いつの間にか、部署が発表になっていて、それぞれ、ほっとしたり、えーっ、という顔をしたりしている。
っていうか、私の名前は? と思っていると、
「佐野明日実、人事部付」
へ?
明日実の周りがざわつく。
「佐野さん、人事なの?」
「いや、違うよ。
人事部付って言うのは……」