【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。
《 3rd 》愛と今後と。
episode*01『気をつけてくださいね』
あれから、一ヶ月が経った。
最近は週に二度は仕事終わりに那月くんと食事をしている。
今日も、会社の裏口で待ち合わせをしていた。
仕事が終わって、急いで待ち合わせ場所に向かうと、すでに那月くんが待ってくれていた。
「百合花さん、お疲れ様です」
那月くんとの交際は、怖いくらい順調だと思う。
この幸せが、ずっと続けばいいのに……。
そんなことを思ってしまうくらい、那月くんといられる今がたまらなく幸せだった。
「営業部に異動してくる桐生(きりゅう)さんって知ってる?」
その日は朝から、その話題で持ちきりだった。
「大学同じな子が言ってたんだけど、超イケメンなんだって」
「楽しみ……!」
総務と営業は同じオフィスだから、関わりも深い。
かっこいい子が入るという噂が流れていて、女性社員はみんな浮き足立っていた。
私はあまり他の社員との関わりも薄いから、関係ない話。
この時までは、そう思っていた……。
「今日から営業部に異動してきた、桐生くんだ」
翌日、本当に容姿の整った人が異動してきた。
オフィス内の朝礼で紹介された彼を見て、女性社員はみんな目をハートにしている。