【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。
「ニコニコしてれば、なんだかんだうまくいってきたし、外面さえよくしておけばみんな俺の掌の上で転がされてくれるって。百合花さんも最初見た時目を疑うほど美人だったから、俺みたいに上手に世渡りしてんのかなって思ったのに……」


予想外のこの人の内面を知って、ほだされでもしたんだろうか。


「百合花さんオフィスでも浮いてるし、男社員には塩対応だし、変な人だなってずっと気になってたんです。俺とは真逆の人ですね」


百合花さんは俺の話を、ただじっと聞いていた。
そして、不思議そうに首を傾げた。


「け、貶してますか……?」


また予想外な返事が飛んできて、くすっと笑ってしまう。


「めちゃくちゃ褒めてます」


天然なのか……?

この人がこんな抜けてる人だなんて、思わなかった。
予想外な一面ばかりだ。


「百合花さんみたいな人、初めてです」


自分の容姿を鼻にかけるわけでもなく、汚れを知らないような無邪気さまで持っている。
冷たい人だと思っていたのに、不器用な内面が隠されていただけだった。


「私は、別に普通です……」


百合花さんは、少し困っている様子で頼りなさげに眉を下げていた。


「それに……塩対応?かはわかりませんけど、ただライバル視しているだけです」

「ライバル視?」

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