【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。
年上なはずだけど、全然そんなふうに見えないっていうか、加護欲が掻き立てられてしまう。
「俺さっき言いましたよね、見たことないくらいの美人だって」
はっきりとそう言ったのに、百合花さんはなぜか疑うような視線を送ってきた。
もしかして……俺がお世辞を言ってると思ってる?
可愛い子なら普通、「そんなことないですよ」か「ありがとうございます」の二択だ。
たまにお世辞で言ってるのに「よく言われます」なんて返してくる厚顔無恥な人もいるけど、百合花さんみたいな反応は初めて。
「今まで相当モテてきましたよね?」
「もうそこまで若いわけでもないですし……私は可愛げもないので、モテたことなんてありません」
即答されてしまい、言葉を失った。
いやいや……相当天邪鬼だったのか……?
この見た目でモテたことないって……ありえない。
本人が気づいてないだけ……?ここまでの鈍感なんか存在するのか?
まあ、この人ならありえるか……。
この人は今まで関わってきた女性と違いすぎて、比べようもない。
ただ、もうこんな人には出会えないという直感だけがあった。
「ねえ百合花さん」
「はい?」
「本気になったって言ったら、どうしますか?」
俺の言葉に、百合花さんはまた難しい顔。