【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。

……これで、ふたりの仲がこじれでもすればいい。

流石にこんなことで、別れ話にまでは発展しないだろうけど……百合花さんに弱みができればそれでいい。

恋人とうまくいっていない時が、一番奪いやすいから。


「……悪い男ですみません」


眠っている百合花さんの髪を、そっと撫でた。











家について、とりあえず百合花さんをベットに寝かせる。

俺はソファで寝るか。


シワがよりそうだったから、ジャケットだけ脱がせた。

家に百合花さんがいるとか、違和感しかない。


……寝顔、くそ可愛いな。

冗談を抜きにして天使かと思う。いつまで見ていたって飽きない。

風呂入って、俺も寝よ。


シャワーを済ませて、寝る前にメールのチェックだけする。
ベッドの上にいる百合花さんは、全く起きる気配なし。

気持ちよさそうに、すやすや眠っている。


百合花さん、明日起きたらどんな反応するだろ……。

そんなことを思った時、突然インターホンが鳴った。

ん……?

この音は、エントランスからじゃなくて家の前?

同僚か……?
同僚と家飲みをしたこともあるし、同じ社宅に住んでいる社員の可能性はある。

今来られるのは困るけど、玄関からは見えないから、靴だけ隠して応答しようと立ち上がる。

< 202 / 220 >

この作品をシェア

pagetop