【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。



「っ、ごめんね、ソファ狭くて……」


い、今の反応、挙動不審みたいっ……。

肩が触れただけなんだから、落ち着け私……!


「あーあ、先輩。謝っちゃいましたね」

「え?あっ……」

「言ったでしょ?次謝ったら……キスするって」


有無を発するよりも先に、那月君に唇を塞がれた。

優しい口付けになにも考えられなくなって、深みを増していくそれに、されるがままになる。

気持ち、いい……。


「那月、君っ……」

「そんな甘い声で、名前呼ばないで……止まらなくなる」


焦れたような息を吐いた那月君の手が、私の耳に触れた。

耳朶を優しく撫でて、ゆっくりと首へと滑らせるように手が這わされる。

口付けに、いつもとは違う熱が混ざっていることにようやく気づいた。


手付きが、なんていうかっ……。これって、もしかして……そういうことになる、雰囲気?


……む、無理……!


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