イジワル副社長と秘密のロマンス

予定より仕事が早く終わって生まれたオフの時間を、樹君が私に使ってくれた。それがとびっきりのプレゼントである。

本気でそう思っているのに……いらないとは言ってないけどと、愚痴りそうになる自分がいる。

複雑な気持ちのまま口ごもると、樹君に「顔、面白すぎ」と笑われてしまった。


「もうちょっとで千花にプレゼントできるよ」

「私に?」

「そう。黒ネコのぬいぐるみ、あとちょっとで直し完了」


得意げな笑みを浮かべながらの彼からの報告を聞いて、私は両手で口を覆う。

樹君が持っていったあのぬいぐるみは今どうなっているのだろうと、時々思いを巡らせることはあったけれど、こんなに早くその報告が聞けるとは思っていなかったのだ。


「ついでに、ウサギの仲間も増やしておいたから。楽しみにしてて」


あくまでさらっと樹君がついでの報告を口にした。

けどそれは私にとって感動ものの報告だった。口元を抑えていた指が震えてしまう。


「本当っ!? 本当に!?」

「うん。我ながら上手くできてると思う」

「ありがとう、樹君! 早く見たい。すっごい楽しみ!」


両手をばたつかせながら声を大きくさせると、樹君がテーブルに両肘をついた。

重ねた手の甲の上に顎を置き、思案顔をする。


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