イジワル副社長と秘密のロマンス


「大好き」


思いが、口をついて出た。

樹君はこくりと頷いたあと、はにかんだような笑みを浮かべて、互いの額と額をくっつけてきた。


「俺も好き。自分でも呆れるくらい千花が好き」


色っぽく囁くと同時に、樹君が私の左手を掴み上げ、薬指にキスを落とした。

そして私へと目線だけを上げ、にやりと笑う。

いつも通りの格好良さに甘い色香が追加されてしまえば、鼓動が一気に高鳴っていく。

口づけをされたそこから、甘い痺れがざわりと広がり、身体の中に淫らな熱を産み出していく。

欲情にかられてしまった自分に恥ずかしさを覚え動揺していると、突然、樹君が私を抱きかかえ上げた。

横抱きにされ、進んだ先にあるのは……樹君のベッドだった。

不安と緊張、そして期待が心の中でせめぎ合っている。

私の身体をベッドに横たえてから、樹君もゆっくりと身体を倒してくる。

仕事をしているときのような真剣な顔をしている。


「千花」


それなのに私の名を呼ぶその声は、仕事中ではあり得ないくらいとろけそうなほど優しくて、どきりとさせられる。

感じる彼の重みも、わずかに浮かべられた笑みも、私の髪を撫でるその手も、全てが愛おしい。愛しくてたまらない。


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