イジワル副社長と秘密のロマンス
「こんにちは!」
真っ直ぐ目を見つめたまま話しかけられ、思わず眉根が寄ってしまう。
「……どうも」とだけボソボソと返事をすると、また昴じいさんに背中を叩かれてしまった。
「コイツ、俺の親戚の子なんだ。夏休みの間、ここにいるから、仲良くしてやってくれよ!」
キョトンとした顔をしたあと、その子がニコリと笑いかけてきた。
「そうなんだ! よろしくね!」
肩まである髪をさらりと揺らして、また俺に話しかけてきた。
見知らぬ誰かと関わり合いたいとか思ってない。だからよろしくとか要らない。そう言うの、ほんと面倒くさい。
気持ちのままに視線をそらした途端、また背中に衝撃が走った。強い一撃に、俺は前につんのめる。
あははと笑い声が聞こえた。顔を上げれば、同い年ぐらいの女が、おかしそうに肩を震わせている。
「それじゃあ、またね!」
笑いを堪えながらそう言ったのち、彼女はペダルを踏み込み、自転車を走らせる。
よろりと自転車をふらつかせながらも、ショートパンツから伸びた細長い華奢な足を懸命に動かし、彼女は遠ざかっていく。
「なんか大荷物だったなぁ。自転車じゃなきゃ、車で家まで送ってあげたのに」