イジワル副社長と秘密のロマンス
3章、
未来への提案
静かだったオフィス内が、徐々に人々の声で満ちていく。
副社長室の掃除を終え、窓際に置かれた観葉植物に水をあげていると、換気のために開け放っていたドアがパタリと閉まった。
慌てて顔を向け、すぐに背筋を伸ばす。
「副社長。お早うございます!」
「おはよ」
扉を閉めたのはこの部屋の主である、樹君だった。
欠伸をしながら自分のデスクに向かっていく彼のあどけない表情がちょっぴり可愛くて、私はこっそり笑みを浮かべた。
樹君との初めての夜から、1ヶ月が経った。
副社長としての彼は日々忙しさを増していて、毎日膨大な量の仕事をこなしている。
私も秘書として彼をもっとうまくサポートしたく、日々奮闘中である。
最近、AquaNextはブライダル関連にも力を入れ始めている。
ブライダル事業へ幅を広げることは、前々から会長が強く希望していたことでもあり、その思いを引き継いだ形で、そして、就任後最初の大きなプロジェクトとして、藤城兄弟は全力を注いでいるのだ。
そして恋人としての彼も、強引なのに優しくもあり……相変わらずだ。
外で会うことはあまりなく、時々私が樹君の家にお邪魔して、一緒に過ごしている。
たいてい、家にお邪魔した時は、平日休日関係なく泊まらせてもらってもいる。