イジワル副社長と秘密のロマンス
「だったら私だけじゃなくて、その秘書も出て行かせるべきなんじゃない?」
「……どういう意味ですか」
「私を外すよう、あんたが頼んだってことよ!」
飛びだしてきた言葉に面食らってしまう。戸惑いながらも、なんとか言葉を返した。
「そんなこと、樹君に頼むわけないじゃないですか!」
首を横にふりながら否定した瞬間、津口さんに鼻で笑い飛ばされた。
「樹に、じゃないわよ。あんた、白濱さんと繋がってるわよね。こそこそ会ってるわよね。昨日も」
ドキリとさせられた。確かに、私は白濱さんと会っている。しかもそれは津口さんが言う通り、昨日のことでもある。
なぜ津口さんがそれを知っているのか。唖然としていると、樹君がため息を吐いた。
「……昨日、ね」
不満に満ちた視線が突き刺さってくる。私は何も言えなくなってしまう。
津口さんの言葉を樹君がどう捉えたのかという怖さと、伝えようとしていたことを先に言われてしまった悔しさが、心の中で一気に膨らんでいく。
「あんた、白濱さんにうまく取り入ったんでしょ? 女の武器を使って」
「何を言って……そんなこと絶対にしません!」
「言い逃れできるとでも思ってるの? こっちには証拠もあるんだから。」