イジワル副社長と秘密のロマンス
「あらららら。これは……出直した方が良いかな? あーでも、俺も早めに話聞いてもらいたいし、今なら時間もあるし、バトルが終わるまでどこかで待たせてもらっちゃおうかなぁ」
言いながら足が後退していく。関わりたくないっていう気持ちが見え見えである。
樹君は片手を腰に当て、笑みを浮かべる。
「そんなこと言わず、参戦してよ」
「えっ。まじで!?……いやいやいや。部外者なので、遠くから見守るだけにしておくよ」
「残念だけど。白濱さん部外者じゃないから」
言いながら、彼が私の足元を指さした。白濱副社長も視線も移動させ、例の写真へとたどり着く。
「……何だこれ」
不思議そうに歩み寄ってくる。写真を手に取るとすぐ、眉間に深いしわができた。
「昨日の写真、だね……ええと。これはどういうことかな。説明が欲しいなぁ。できるだけ手短にお願いね」
白濱副社長は絨毯の上で呆然としている津口さんへと真っ先に顔を向けた。口調はいつも通りなのだけれど、目が笑っていないため、妙な迫力がある。
津口さんもそう感じたのだろう。白濱副社長を見あげる瞳が困惑で揺らいでいる。