イジワル副社長と秘密のロマンス
本当にその通りだった。
直接電話で「昴じいさんのとこに行く」と言っても、「祖母ちゃん孝行しなさい」と突っぱねられてしまった。挙句、祖母に飛行機のチケットも手配され、空港まで迎えを行かせるとも言われてしまったのだ。
だから俺は強硬手段に出た。
空港に迎えに来てくれた運転手の田代さんに「俺は乗りません」と告げた。返事をさせる間も与えず、背を向け歩き出すと、数秒後、田代さんの声が俺を追いかけてきた。
「私が昴の所まで送っていきましょう」と。
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牧田家に到着して翌日、俺は久しぶりのユメの散歩用のリードを手にしていた。
木漏れ日の中、ユメと並んで歩いていく。のんびりとした時間を過ごすのは本当に久しぶりである。
欲を言えば、千花と一緒に散歩をしたいところだけれど、到着したのは昨日のことだ。千花は俺が来ていることすらまだ知らないだろう。
どんな手段で一年振りの再会を果たそうかぼんやり考えてると、声が響いた。
「樹くん!」