イジワル副社長と秘密のロマンス

どうしても、スキルアップがしたい。

社長付秘書になるのか、副社長付秘書になるのか、今の段階でははっきり知らされていない。

私情を挟めば、樹君をサポートできたら幸せだなんて思ってしまうけど、これは仕事だ。

大好きなブランド“AquaNext”の最前線に立っている人たちの役に立ちたい。

この強い気持ちは、どちらに付いたとしても、揺るがない。

次の封筒に手を伸ばした時、星森さんがふふっと小さく笑った。


「兄弟そろってイケメンで、テンション上がっちゃいました」

「兄弟って……藤城次期社長と副社長のこと?」

「そうです。副社長なんてとくに、クールな感じが格好いいです。キュンとしちゃいます」


開封しようとしていた手が思わず止まる。


「……うっ、うん。格好いいよね」

「彼女いるのかなぁ。あんなにイケメンだもん、いるよねきっと。どんな人と付き合ってるんだろう。あぁっ、気になるっ!」


樹君と付き合ってるのは、私です……なんて簡単に言えるはずもない。話を続けたら墓穴を掘ってしまいそうな気がして、私は黙りこんだ。


「しばらくふたりとも海外支社にいたみたいだから、そっちに恋人がいてもおかしくないよね……あぁ、でもその前はずっと日本にいたんだし、海外にいる間、ずっと遠距離恋愛してた可能性もあるよね……恋人いるのかなぁ。すごい気になるなぁ」



< 87 / 371 >

この作品をシェア

pagetop