イジワル副社長と秘密のロマンス
どうしても、スキルアップがしたい。
社長付秘書になるのか、副社長付秘書になるのか、今の段階でははっきり知らされていない。
私情を挟めば、樹君をサポートできたら幸せだなんて思ってしまうけど、これは仕事だ。
大好きなブランド“AquaNext”の最前線に立っている人たちの役に立ちたい。
この強い気持ちは、どちらに付いたとしても、揺るがない。
次の封筒に手を伸ばした時、星森さんがふふっと小さく笑った。
「兄弟そろってイケメンで、テンション上がっちゃいました」
「兄弟って……藤城次期社長と副社長のこと?」
「そうです。副社長なんてとくに、クールな感じが格好いいです。キュンとしちゃいます」
開封しようとしていた手が思わず止まる。
「……うっ、うん。格好いいよね」
「彼女いるのかなぁ。あんなにイケメンだもん、いるよねきっと。どんな人と付き合ってるんだろう。あぁっ、気になるっ!」
樹君と付き合ってるのは、私です……なんて簡単に言えるはずもない。話を続けたら墓穴を掘ってしまいそうな気がして、私は黙りこんだ。
「しばらくふたりとも海外支社にいたみたいだから、そっちに恋人がいてもおかしくないよね……あぁ、でもその前はずっと日本にいたんだし、海外にいる間、ずっと遠距離恋愛してた可能性もあるよね……恋人いるのかなぁ。すごい気になるなぁ」