イジワル副社長と秘密のロマンス
グサリと、鋭い言葉が胸に突き刺さってきた。
曖昧に笑い返し、言い返すことも出来ずにいると、椿は深く息を吐き、にっこりと笑った。
「まずは、千花を好きだって態度で現してくれる袴田さん。そしたら次は職場ね。千花の職場には、客も含めて良い男いっぱいいそうな気がするから、そっちが本番よね! イケメンゲットしたらすぐに教えてよね! すぐに顔を見に行くから!」
明るく笑い飛ばすような口調で椿が要望を押し付けてきた。
分かってる。椿は私のことをしっかり考えてくれた上で、厳しいことを言ってくれている。
私は表情を和らげた。
「他人事だと思って、簡単に言ってくれる! 私が孝介先輩よりイケメン捕まえても、僻まないでよね!」
唇を尖らせて反撃すると、椿は「孝介よりもイケメンなんて絶対無理~!」と妙なメロディに乗せて宣言し、化粧台の上に置いておいたバッグを手に取った。
椿が個室へ歩き出すと同時に、女性が四人ほど列を作って化粧室内に入ってきた。
「椿、私、先に戻ってるね」
慌ててその背中に声をかけると、椿がゆるりと振り向いた。
「わかった……じゃあ、またあとでね!」