君と出会えたことを誇りに思う
4月

『…よしっ』

桜が咲き誇る季節になり、この時期は入学式があちらこちらの学校である行事である。

私、蒔田美月はこれを機に絶対に生まれ変わることを心の中でそう決めていた…が現実はそう簡単には行かなかった。

中学の時から私は影が薄いというわけではないのだが、人間関係をうまく築けずにいた。話しかけたくても話しかけられない。そんな日常を繰り返していた。
高校生になったらがんばって友達を作り、前向きに前向きに生活していきたいと思っていた。

入学式が終わり教室内で自己紹介をすることになった。ドキドキする。きちんと自己紹介をすることが出来るのだろうか…そんな気持ちが脳の中をグルグルと回っていた。
一人ずつ自己紹介をしていき、ついに私の番になった。席をたち辺りを見渡すと全員が私のことを注目していた。心臓がどんどん加速していくのが分かった。自信をもち自分なりの自己紹介をした。

『えっと、私の名前は…蒔田美月!と言います…。好きなことは絵を書くことや歌うことです。南都中学校からきました。よろしくお願いします…。』

緊張緊張で心臓がバクバク言っていた。私は顔をあげ見渡すと全員が私に拍手をしてくれた。すごく嬉しかった…中学校の時拍手を貰うことなどほとんど無かったものだから。

自己紹介が終わると私は席で帰りの準備をしていた。するとそこに一人の女の子が来た。

『あのさ!蒔田さん、私、南都中学校から来たの。宜しくね!あっ私の名前は月野千晴ね!』

『あっうん。月野さん宜しくね。』

『千晴でいいよ!』

『うん、』

放課後、私は公園の芝生の上でまったりしていた。夕方、風が涼しく吹き私の髪がなびいていた。しばらくすると少しだけ寝てしまった。

『はっ。寝てた。帰らないと』

起き上がると、かばんをもち立ち上がった。制服についた葉をどかすと家に帰った。

家に帰るとリビングルームからお母さんが顔を出してきた。

『あ、美月お帰りなさい!初登校どうだった?』

『ただいまお母さん。緊張した...』

『よく頑張ったわね』

私は部屋に戻ると制服から部屋着に着替えた。制服はハンガーにかけパンパンと叩くとクローゼットの中にしまいリビングルームに戻ってきた。戻ると兄がいた。

兄は私より二つ上の高校三年生。明るくて爽やかで優しい青年だ。生徒会長をやっている。

名前は『蒔田皐月』(まきたさつき)。

兄は妹思いの優しい人。あと心配性。私がちょっとでも元気ないときは励ましてくれる大好きな兄だ。

明日から自分の新しい生活が始まる。友達に部活に勉強にどんな事が待っているのか不安だらけだった。
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