Forecast -Mystic Cafeへようこそ-
「...そうですがいかがなさいましたか?」

私はいつもの正装に着替えてそっと
玄関に現れる。

見ると、今日の相談者はあろう事か
友人の下江早紀(しもえ さき)と
一華 魅菜(いちはな みな)だった。

早紀は面白いものを眺めるかのように
私をじっと見ている。
対して魅菜は早紀に寄り添うかのように
おどおどしている。

「やーっぱあんたじゃん、菜乃」

早紀はまるで面白い玩具を見つけたような顔で、
キラキラした目をこちらに向けた。

私は手を軽く上にあげ、降参のポーズをした。
早紀は結構興味のあることにたいして
かなり執着するタイプだ。
敵に回したらそれこそ面倒なのである。

「いつも放課後あまり遊べないと思ったら
...なるほど。理解したわ」

早紀はフムフムというかのように頷いている。
それに比べ魅菜は小動物のようにくりくりした目を
こちらに向けて質問を投げかけてきた。

「でもどうして話してくれなかったの?そしたら
出来ることはなんでもしたのに」

(なんで...ねぇ)

「ねぇ、聞いてくれる?私実は
街中で有名な占い師なんだ♪...
とかいきなり言って、信用する?」

「え、うん。だってあんた
怪しげなカード持ち歩いてんじゃない」

早紀はぶっきらぼうに淡々と答える。
魅菜はいつのまにか自分の鞄から
一本の蝋燭を取り出した。

「ルーラちゃん!」

すると、蝋燭が光り
目の前におかっぱ頭の着物を着た
女の子が現れた。

「んー。なぁに?」

女の子は目をごしごし擦りながら
こてんと首を傾げる。

「ちょっと!妖怪を私の前で出すのはやめてよ!
さっきもいったじゃない!」

気付くと早紀は3メートルくらい
距離を置いている。
しかし魅菜はマイペースに話し出す。

「大丈夫だよー。悪い子じゃないもん。ねー?」
「ねー?」

女の子も魅菜の言葉に賛同するかのように
楽しげに返事をした。

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