Forecast -Mystic Cafeへようこそ-
「なによー寝てたのにー」

と言いながらガラガラと教室のドアをあけて
一人の女の子が入室する。女の子、といっても
中学一年生か小学六年生くらいの背丈、
ふわふわカールの女の子!という感じの子ども。
恐怖は一切感じられない。

え、これがさとりちゃん?と
私を含め全員ぽかーんと女の子に注目する。

「そうよ?私がさとりちゃん。なんなら
貴方達が今思ってる事を
言い当ててみせましょうか?」

さとりちゃんと名乗るその女の子は
そこの貴方!と早紀を指差す。
さとりちゃんは目をしっかりと見開き
早紀をじっと見る。

「今私の事見て可愛いと思ったでしょ!?
後トイレに行きたいって」

「お、思ってないし!」

「う...」

早紀は赤面するが思ってない!など
必死に言い訳を繰り返しだす。

(思ってたんだな)

「もう知らない!」

そういい、早紀は何処かへ行ってしまった。
多分トイレだろう。

私は今のうちにとナシャを呼び出す。
呪文は心の中で唱える。
心で唱える呪文は
疲れやすいものではあるが
この際仕方がないだろう。

出てきたナシャに即効小声で
矢継ぎ早に質問をする。

「ねぇ、さとりちゃんって何?」

ナシャは面倒くさそうに
出てきた後ゆっくりと返答する。

「あーなんか読心術使えるらしいわよ」

「独身術?独り身になる方法?え、あの子
彼氏いないことをネタにしてるの?」

「違う違う、読心術!
要は心を読み取れるの。っていうか
貴方が私を出したこと向こうに丸わかりよ?」

「話の分かる女の子だーいすき!
あ、でも貴方は精霊よね?女の子かしら?
それともオトコノコ?」

そこへ突然さとりちゃんが話に割り込んで来た。
早紀はもう知らない!トイレ!と何処かへ行って
しまったから助けてなんかくれないし、
魅菜は何故か蝋燭を取り出す。

「あ、そこの可愛い子ちゃん、残念だけど
妖怪のさとりをだそうとしても無駄よ?その子
私と同類だから。厳密に言うと兄弟みたいなもんね」

「無駄じゃないよー」

魅菜はそういいながら一つの箱を取り出す。
そうか、魅菜は妖怪を操る能力持ちだから...

「げ」

それを見たさとりちゃんはしかめっつらをする。
私はその様子をじっと見ながらナシャに声をかける。

「ナシャ、なんも考えずにあの子を動けなくして。
どんなカードを使っても良いから」

「御意」

ナシャは素早くさとりちゃんの背後に周り
悪魔のカードのフォート、メシスを呼び出す。
悪魔のカードは誘惑、束縛なので
おそらくさとりちゃんをぐるぐる巻きにして
捕獲する作戦だろう。

メシスはさとりちゃんを見て一瞬渋い顔をしたが
すぐに動けなくしてくれた。

「あらやだ、良い男♪」

と言い隙を見せたさとりちゃんは
呆気なくメシスの誘惑に負け
どんどんぐるぐる巻きにされていく。

そして魅菜は箱を開け、呪文を放つ。

「箱の世界に在るべきものよ、
再び眠りにつきたまえ、
ラスター!」

すると見る見るうちに
さとりちゃんは箱に収まった。


「どういうこと?」

私は魅菜に質問する。

「えーとねー」


つまり、さとりちゃんは妖怪一瞬だと
自分から先程名乗ってくれたので
魅菜の能力の一つ、妖怪召喚と
強制帰還を使い、さとりちゃんを
一時的に魅菜が作った異空間に
ワープさせた、とのこと。

これで当分、魅菜がださない限りは
この噂も消えるだろう。

「結局さとりちゃんってなんだろうね」

ほとぼり覚めてから早紀が静かに戻ってきた。
私は空に向かって呟いた。

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