拾われた猫。
「私は心が読めるわけじゃない。
ただお前が考えていそうな事は何となく分かる。
…ずっとお前を見てきたからな」
スッとこちらに来て私の頬を撫でた。
優しい感覚がした。
悔しいことに、それだけで警戒を緩めてしまいそうになった。
「フフッ。
身構えなくても何もしない。
第一今は武器も持ってないだろう」
よしよしと今度は頭を撫でる。
「…無くても戦い方はいくらでもある」
彼は一瞬驚いた顔をして、ニコッと笑った。
「やっと口を聞いたな」
嬉しそうに笑った彼は少しだけ子供のように見えた。
私よりも大人で背が高い彼は会ったこともないのに、どこか身近に感じた。