拾われた猫。
目を開ければ夢が覚めるはずだった。
ゆっくりと瞼を上げると、見慣れない天井があった。
横を見ると襖があった。
逆を見ると障子がある。
上半身を起こすと、またまた見慣れない布団。
というよりうちには襖もなければ障子もない。
つまり和室はない。
そしてベッドに寝ることはあっても、床に直に布団を敷くことは無い。
うちじゃないならどこなんだろうか。
体がベタベタと気持ち悪い。
よく見れば服も和装になっている。
着物なんか着たことがない。
しかもブカブカ。
キョロキョロと周りを見渡すけど、持っていた刀も暗器も無くなっていた。
「……本当にどこ?」