拾われた猫。
「着物…買ってもらってしまって、すいません」
どう言えばいいのか分からなくて、敬語になってしまう。
言葉もこれで合っているのかも分からなかった。
けど、彼の表情は少し柔らかくなった。
ガシッと私の頭を乱暴に撫でると、また歩いて行った。
「雨、言葉まちごうとる」
「…え?」
クスクスと笑いながら、彼女は私の耳元で囁いた。
───『そこは〝ありがとう〟言うんよ』
悪戯が成功したように笑って、芹沢鴨と一緒に行ってしまった。
彼女を見ていると、家族というものが分かってくる気がする。
今度会ったときに言ってみよう。
そしたらどんな顔をするのかな…。