拾われた猫。
「何考え込んどるんか知らんけど、そないに怖い顔せんでも」
手が伸びてきて、グニッと私の頬を引っ張った。
目を見開いて手を止めた。
「梅姉さんやよ」
おどけたようにそう言って手を離した。
それから彼女の後ろに立つ人を見上げる。
「…」
相変わらず無口なその人は私を見下ろしていた。
その様子を彼女はクスクスと笑った。
「芹沢さんもそない怖い顔せんでも。
雨が怖がってまう」
そう言うと、芹沢鴨は少し視線を外した。