拾われた猫。
「でも変な服って……。
服ぐらい今どき誰でも……」
「誰でも着ている」と言おうとしたけど、そこで留まった。
彼の服装は着物。
ここは和室。
開けられた障子に近づく。
塀が連なっていて、建物も庭もパッと見た感じめちゃくちゃ広いと思われる。
私はこんな所は知らない。
いつも夜の道をぐるぐると歩いている。
適当に歩いているとは言っても、風景はよく覚えている。
こんな広い家はどこにも無かった。
「私の服の中に携帯ありませんでしたか?」
「けいたい?」
「破れていても構わないので私の服を持ってきてもらえますか?」
お願いするとすぐに持ってきてもらえた。