拾われた猫。



「でも変な服って……。

服ぐらい今どき誰でも……」



「誰でも着ている」と言おうとしたけど、そこで留まった。



彼の服装は着物。

ここは和室。



開けられた障子に近づく。


塀が連なっていて、建物も庭もパッと見た感じめちゃくちゃ広いと思われる。




私はこんな所は知らない。



いつも夜の道をぐるぐると歩いている。


適当に歩いているとは言っても、風景はよく覚えている。



こんな広い家はどこにも無かった。



「私の服の中に携帯ありませんでしたか?」

「けいたい?」

「破れていても構わないので私の服を持ってきてもらえますか?」



お願いするとすぐに持ってきてもらえた。



< 15 / 443 >

この作品をシェア

pagetop