拾われた猫。
◇◆◇◆◇



香月雨が出て行った後、しばらく3人は黙っていた。



「彼女に話す必要なんてないのに、随分律儀だね」



開いた障子にもたれ掛かって、前で腕組みをしている沖田総司がいつの間にか立っていた。



「…盗み聞きか?」



斎藤一は彼をギロリと睨みつけた。



彼は余裕の笑みを見せる。



「人聞きの悪いこと言わないでよ。

たまたまだよ」



クスクスと笑う彼の性格は3人はよく知っている。


原田左之助はため息を一つこぼした。



「彼女に悪いと思うくらいには罪悪感があるんだ?」


挑発するような笑顔だった。



藤堂平助は「当たり前だ」と言った。


泣きそうな彼を沖田総司はポンッと撫でた。



< 153 / 443 >

この作品をシェア

pagetop