拾われた猫。



「…ふらりと現れて、人一倍警戒心が強い」


斎藤一は顎に手を当てて、香月雨のことを思い返す。



「そうそう!

でもいつの間にか居ないと気になってしかたねぇんだよなぁ」


少し上を向きながら人差し指を顎に手を添える平助は、どこか嬉しそうだった。



「でもやっぱり一くんが言うようにさ、泣いたり笑ったりはしないよね」


総司はぼそりと天井を見上げながらそう言った。


その言葉に一同が目を見開く。



「総司、何気あいつの事見てるよな」


平助の言葉に、天井を見たまま「別に」と返した。



「あいつはさぞ綺麗に笑うんだろうな」


原田左之助は瞳を伏せて、クスリと笑った。


そしてお茶を静かにすすった。



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