拾われた猫。



それから平助が持ってきた花札をやった。



部屋にいるだけなので、ここ最近は髪を結んでいなかったけど、今日は久しぶりに結い上げた。



「…あ」

「俺の勝ちっ!」


私が勝ったり、平助が勝ったり。


平助は表情をコロコロ変える。



何回戦か終わった時、私は疑問に思っていたことを聞いてみた。



「平助、何かあったの?」

「え……」


気づいていないと思っていたんだろうか。


クルクル変わる表情の中で、何度か悲しげな目になった。


本人は無意識なのかもしれない。



平助は一瞬表情を暗くして、また笑った。


彼のあんな表情を見るのは初めてだった。



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