拾われた猫。
「……今日は嫌なことがある日なんだよ」
ニカッと笑って、彼は私の頭を撫でた。
「でも雨の顔みたら元気出た。
ありがとな」
平助は嘘が下手だ。
私は嘘をつくのは上手い方だと思う。
気づかぬふりをした。
私のことを心配して来てくれた。
「平助」
「ん?」
きょとんとする彼の頬を両手で包む。
温かい……。
「私をここに連れてきたことに責任を感じないで。
私は自分の意思でここにいる。
ここにいるのは私の責任だから」
彼の目を見て、私は最後に「聞き流してくれていいから」と付け加える。