拾われた猫。
彼は泣きそうな顔で私を見て、下を向くと髪を片手でくしゃりと握った。
「……違う。
責任を感じてるわけじゃないんだ」
ポツリと言葉を漏らす彼に黙っていた。
「なぁ、雨...。
お前はここに来て後悔してんのかと思ってたんだ。
俺が勝手に連れてきたせいでここにいなきゃいけなくなったんだし。
だから俺が楽しくしてあげなきゃって…」
いつも無邪気に笑う平助の裏側を知った。
こんなに消え入りそうな平助に、私は何をすればいいのか。
何を言ってあげればいいのか。
髪を掴む平助の手が少し震えていた。
私はその手を掴んで、包み込む。
ただ、ギュッと。
伝わればいいと思う。
このまま、全部。
平助は私を引き寄せて、私の肩に頭を乗せた。