拾われた猫。
「…俺さ、雨に嫌われたくない」
弱々しい彼の頭をポンポンと撫でた。
「嫌わない」
そう思ったのは本心だった。
平助がクスリと笑った気がする。
そのことに安心した。
その時、障子が開いた。
新八と左之がボーッと立っていた。
平助はサッと私から体を離す。
真っ赤になりながら口をぱくぱくさせる姿は金魚のようだった。
「まぁ、お前も年頃っつー訳だが、屯所内では不用心過ぎるぜー?」
ニヤニヤと笑う新八に平助は、否定することに必死だった。
「これはそういうのじゃなくて……!
ってか、雨と遊んで話してっ……!」
違うということを言いたいのだろうが、言葉は誤解されるような言い方になっていた。
新八はゲラゲラと笑っていたけど、左之は未だにボーッと私を見ていた。